このほど2016年1月16日にJ2・北海道コンサドーレ札幌の運営会社『㈱コンサドーレ』と北海道の大手ドラッグストア『サッポロドラッグストアー(サツドラ)』傘下で共通ポイントサービス「エゾカ」を運営する『㈱リージョナルマーケティング』が電力販売事業を行う電力販売会社『エゾデン』の設立を発表しました。
■サッカークラブの枠を超えた電力小売販売
エゾデンは4月1日から始まる電力小売り全面自由化に合わせ新電力大手『㈱F-Power』と提携して契約件数5万件を目標とする電力販売を実施し、2月上旬から料金メニューを発表すると共にホームページを開設して申し込みの受付を開始します。
料金については、エゾデン社長に就任する本間哲平・コンサドーレ取締役は「できるだけ安いシンプルなプランにして他サービスとのセット割引はしない」との方向性を示し、収益の一部を使ってコンサドーレのスポーツ振興事業やサツドラが取り組む子育て支援などを通じて地域還元する『でんきでげんきプロジェクト』を進めることも発表しました。
■長期的なプロモーション強化
また、1月15日には『博報堂DYメディアパートナーズ(以下・MP)』とクラブ事業全般を共同で行うクラブビジネス戦略パートナーとして7年契約の提携に基本合意します。
2015年1月から札幌は博報堂DYMPと交渉していましたが、この提携で博報堂DYMPから1年で推定2億円が入ることになり、また博報堂DYMPからは複数の常勤者を含む人材が札幌に出向して新規事業にも取り組んでいくことで札幌の売り上げが増えるとともに博報堂DYMPにはマージンが支払われることでクラブ規模が拡大していく、いわゆる「ウインウインの関係」が構築されるのです。
そして札幌はプロモーションの強化を図るため、今シーズンから博報堂DYMPの協力を得て初の試みとなるホーム全21試合を地上波でライブ放送する方向で準備しており、その契約で得た費用を露出の拡大および選手の人件費に注ぎ込むことでクラブ自体の強化に繋がります。
■選手経験で得られたノウハウをクラブ経営に
こうした取り組みを立ち上げたのが『㈱コンサドーレ』社長の野々村芳和氏です。
野々村氏は2001年まで現役でプレーした札幌の社長に就任した2013年から様々なアイデアを出すことでクラブの注目度を上げていき、2015年にはトライアスロンのリオデジャネイロ五輪候補である細田雄一とパートナーアスリート契約を結ぶなど多方面で認知度の拡大を行います。
チームの強化に関しても元日本代表の小野伸二や稲本潤一の獲得によって観客動員やグッズの収益増につなげました。そして野々村氏は「現在の15億円の売り上げを25億円にしたい」と述べていることでも2016シーズンを集大成として捉えていることがうかがえます。
野々村氏による様々なアイデアや事業の立ち上げは、サッカー選手および解説者で培った経験とノウハウがサッカークラブ経営に活かされているのです。
まさにこれから、クラブのブランドを活かしながら「新たな製品」「新たな市場」を組み合わせて「新たな分野」に投入することで事業の拡張を目指す『多角化戦略』を野々村氏は実施しようとしているのでしょう。
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