先ごろ、日産自動車がアフリカ大陸最大のサッカートーナメント『アフリカネイションズカップ2015』とのパートナーシップ活動を開始することを発表し、予選トーナメントから2015年1月にモロッコで開催される決勝トーナメントまでの期間を通して、日産のアフリカ市場におけるプレゼンス拡大を目的とした活動の一環と見られます。
■シティとの提携で加速するサッカーマーケティング
以前に公開した日産とUEFAチャンピオンズリーグとのスポンサーシップのレポートから日産のサッカーに重点を置いたマーケティングが急速に進行していき、2014年7月にはプレミアリーグのマンチェスター・シティなどを傘下にする『シティ・フットボール・グループ(以下・CFG)』と5年間のグローバルパートナーシップ契約を締結しました。
このグローバルパートナーシップによってCFGは、日産自動車が保有する横浜F・マリノスの少数株主となり、マンチェスター・シティをはじめとするCFG傘下であるMLSの『ニューヨークシティFC』、Aリーグの『メルボルンシティFC』とともにユース年代の育成・マーケティングのノウハウ・人材交流など様々な分野において提携を行います。
横浜の日産本社で開かれた会見で、日産のカルロス・ゴーン最高経営責任者(以下・CEO)は「日産のブランドをグローバルに拡大するための重要なプラットフォームであるサッカーの試合への投資を促進する」と述べ、横浜F・マリノスの嘉悦朗社長は「今回のCFGとの提携は、Jリーグで初の資本提携をともなう海外企業との提携となります。初めてのケースなだけに何としても成功させてJクラブの一つのあり方を世の中に提案できればと思っています。」とコメントしました。
これで日産は、マンチェスター・シティのホームスタジアム『イテハド・スタジアム』での広告展開や移動用の公式車両の提供などのほかに、CFG傘下のニューヨークシティFC・メルボルンシティFCおよび『マンチェスター・シティ・レディース』のユニホームロゴと、サポーターとの交流イベントへの参加なども行うことが予定されています。
■CFG・CEOから得られるノウハウ
さらにCFGとの提携で日産が得られるのはマンチェスター・シティのブランドだけでは無く、2003年から2008年までFCバルセロナの副会長を務め、当時“赤字”だったバルセロナの財政を再建するまでを描いた『ゴールは偶然の産物ではない』の著者であるCFG・CEOのフェラン・ソリアーノの存在です。
ソリアーノCEOは2015年からMLSに参戦するニューヨークシティFC設立のため、MLBの名門『ニューヨーク・ヤンキース』との提携を実現し、FCバルセロナ副会長時代の実績や経験を買われてCFGのCEOに就任した人物です。
それによって日産はサッカーマーケティングを実行していくうえで、ソリアーノCEOからのアドバイスやサポートを得られることになります。
前述の『アフリカネイションズカップ2015』とのパートナーシップを皮切りに「日産のサッカーマーケティング」への転換が「日産の世界戦略」へと変革していくのかもしれません。
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