サッカーの仕事・クラブスタッフ | サッカービジネス レポートファイル - Part 2のブログ記事

サッカークラブのフロントは主に強化部・管理部・事業部など3つの部門に分かれています。サッカークラブ事業もその他のビジネスと同様に「マーケティング」はサッカービジネスにも欠かせません。

 

その業務内容は、プレスリリースの発行・クラブ発行の会員紙と情報紙・ホームタウン向けポスター制作・テレビや新聞などメディアとのコミュニケーション・ホームページやモバイルサイト運営と広報に関することなどを行います。

他にも集客に関するチケット販売戦略でホームタウンとなる地域との交流イベントや試合当日のスタジアムに訪れたサポーターを楽しませるイベントの計画作成などクラブを応援する人々に向けた「サッカーマーケティング」を行います。

『マネジメント』の著者で知られる経済学者のピーター・ドラッカーはマーケティングについて「マーケティングの目的は、セールスを不要にすることだ。マーケティングの目的は、顧客について十分に理解し、顧客に合った商品やサービスが自然に売れるような状況を作り出すことだ」と述べています。

サッカーの顧客となるのはクラブを愛するサポーターやファンであり、そのサポーターやファンの声に応え、その要望に応じた商品やサービスを展開することを意味します。

これはサッカーに限らずに全てのスポーツマーケティングにも通じます。

 

※参考文献『愛するサッカーを仕事にする本』(アスペクト)

 

 

サッカークラブの強化部に求められるのがその言葉の意味の通り「クラブを強化すること」であり、その業務を行うのが『スカウト』です。

 

スカウトは一般的に最もよく聞き、知られるサッカークラブの仕事だと思われます。その業務内容は選手のスカウティング・監督の招へい・下部組織の育成までと、あくまで裏方ではあるものクラブの成績に直接関わることにより、クラブの命運を握っていることになる業務です。

具体的には「トップチームを強くする」というテーマをもとにして、監督やコーチを選ぶ場合には選ぶだけではなく、どのくらいの人数にして何処に配置するかまで行い、どのような選手をどのくらいの規模までにするのかなど、その時に応じてクラブの理想とする組織作りを目指します。

 

また、スカウトになるには選手経験で培ったサッカーを見る確かな目と分析力によるスカウティング能力が必要不可欠ですが、それ以外にも必要なのがコニュニケーション能力です。

それを物語るのが現・清水エスパルス強化部スカウトの現役時代も清水でプレーした興津大三氏が、現日本代表・FW岡崎慎司(マインツ)と契約するまでの経緯です。

興津氏は、滝川第二高時代の岡崎に注目し、獲得を推し進めるも強化部の岡崎に対する評価は低く反対されていました。それでも興津氏は獲得することを説得し、興津氏自身も誰よりも早く滝川第二高を何度も訪問して岡崎本人や滝川第二高サッカー部監督とコニュニケーションを図りました。

後からヴィッセル神戸からのスカウトもありましたが、岡崎は何処よりも早く声を掛けられたことや興津氏の自分に対する接し方に誠意を感じ、その結果清水と契約することになります。

スカウトには、スカウティング能力だけではなく選手本人および指導者、家族に対する信頼関係を構築する能力も必要不可欠になります。

 

※参考文献『愛するサッカーを仕事にする本』(アスペクト)

 

 

これからのレポート内容についてでお知らせした通り、これからサッカービジネスレポートファイルでは、サッカーに関した職業や就職・転職情報をレポートしていきますが、まずはサッカークラブの職種からゼネラルマネージャーを取り上げます。

 

一般的にクラブチームの運営に関わる人々を「球団職員」や「フロント」など総称して呼びますが、そのフロントにも様々なセクションが存在します。

最もイメージされるのが、主に選手獲得などを行う「強化部」でしょう。各クラブによってその強化部を取り仕切るのが『ゼネラルマネージャー』(以下・GM)です。

GMはスポーツ大国であるアメリカのプロスポーツでは重要な役職であり、チームの戦力とされるほどのポジションです。その仕事内容はチームによって異なることもありますが、人事や営業などのチーム運営を取り仕切り、球団経営の総責任者になります。一般的にはチームの強化・補強、球場運営、マスコミへの広報活動などを行い、球団全体を管理します。特に重要な仕事はチームの強化・補強で、いかに実力のある選手やコーチを集め、有能な監督を呼び寄せるかでチーム力が決定することになります。

欧州サッカークラブでは実務的にクラブの経営を仕切っていますが、ほとんどのクラブでは実質的な権限をオーナーが握っている場合が多い事から重要な場合においてはオーナー自身がクラブの重要な意思決定を下している現状です。なお、各クラブによっては名称がスポーツディレクターや強化ディレクターなどと呼ぶ場合もあります。

JリーグではGM職を設置しているクラブは14クラブほどで、その他のクラブでは強化部長と呼ばれる存在であり、Jリーグも1999年に「クラブマネジメント」「マーケティング」「チームマネジメント」の三つのカリキュラムで構成されるゼネラルマネージャー講座を開設し、国内外から大学教授・研究者・強豪海外クラブのGMを講師として招いて組織的なGMの養成を行っています。

サッカー業界で知名度が高いJリーグクラブのGMには、柏レイソルと清水エスパルスで強化部長を務め、名古屋グランパス初のGMに就任した久米 一正氏。

2007年に当時リーグ・アン所属のグルノーブル・フット38のGMを務め、2010年に京都サンガFCのGMに就任した祖母井(うばがい)秀隆氏。

などがいます。今後、全てのJリーグクラブにGMが設置されるようになるでしょう。また、このGMこそ現場での経験と併せ、クラブ運営など全てにおいてのマネジメント能力が問われる職種といえます。

 

※参考文献『愛するサッカーを仕事にする本』(アスペクト)

 

 

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