ビジネス誌『東洋経済』のWeb版にJ1・アルビレックス新潟の下部組織である『アルビレックス新潟シンガポール(以下・アルビS)』のビジネスモデルが紹介されています。
http://toyokeizai.net/articles/-/24091
記事は、アルビSが2004年1月に設立され当初は新潟の若手育成を目的として新潟からの資金援助を受け運営されていましたが、Jリーグとのレベルの差があることで育成に限界を感じ、資金だけが出ることなどにより撤退を検討していたアルビSが撤退検討時期から売り上げ4倍となる黒字経営までになった経緯を取り上げています。
特に私が注目したのが、撤退を検討されていた時期にアルビSのチェアマン兼CEOに就任した是永大輔氏が行ったクラブ改革のひとつです。
記事で是永氏がチェアマン兼CEO就任時に抱いた「アルビSが存在する理由を再定義する」という決意のもと、これから日本が「高齢化と人口の減少が進行し、国全体がダウントレンドになっていく中で、今の若い世代が経済的にさらに成長していくためには、海外から稼ぐしかない。すると、海外と接する機会は増える。そのときに巻き込まれるのではなく、巻き込む側になれる若い人を育てたい」と語ったようにアルビSから「あらゆる場面で」世界に通用するサッカー選手を輩出するクラブにする為に他国のクラブに移籍してもコミュニケーションを取れるよう英語教育を行います。
これにより50人以上の選手が日本を含めた他国のリーグや教育機関などのサッカー従事者となり、「私はサッカーが強いだけのチームを作ることには興味がない」という是永氏の言葉の通り、アルビSを「サッカーだけではないグローバルな人材を育成するクラブ」という付加価値を与えたと言えるのではないのでしょうか。
是永氏が行ったクラブ改革は、今年9月に創立されたカタルーニャ州4部リーグに参加する『アルビレックス新潟バルセロナ』でも、国際人の育成を目的として選手にはサッカーとスペイン語を1年間学習させ、アルビSでの理念が継承されています。
また、2014年1月に創立される『アルビレックス新潟プノンペン』ではカンボジア人を主体とするクラブ編成とし、現地の人々に日本のクオリティを伝える日本スタイルの運営を行うことで日本のスポーツビジネスを浸透させることを意識しています。
アルビSのグローバル人材育成は、日本のサッカークラブとしては新たなビジネスモデルになる可能性があります。