2015年2月・サッカー用品に新たなブランドが誕生します。それは1906年にアメリカ・ボストンで矯正靴の製造メーカーとして誕生して1960年代にはカスタムメイドのランニングシューズの製造を開始するなど100年以上の歴史から培ったランニングをはじめとした技術革新を生み出してきた『ニューバランス』です。
■ブランド向上のためのサッカー市場参入
2月4日にイギリス・ロンドンでフットボール市場への参入を発表し、会見の席にはマルアヌ・フェライニ、アドナン・ヤヌザイ、アーロン・ラムジー、フェルナンド・レジェス、バンサン・コンパニ、サミル・ナスリ、ヘスス・ナバスらが出席してニューバランスのPRを行いました。
そして翌5日には東京で参入発表会見を行い、『ニューバランス・ジャパン』の冨田智夫代表取締役社長は、「日本でサッカーは野球とともに消費者の方の関心が高いカテゴリーであり、サッカーはこれまで足を踏み入れていないビジネスだった。我々にとっては逆に新しい消費者の方と新しい関係を築ける場にもなる」と述べ、同会見に出席したニューバランス本社・上級役員のアラン・ヘッド氏は、「トップ3になるためには世界最大のスポーツの分野に入らないといけない。つまりフットボールに参入しなければいけない」と世界で最も人気のあるサッカー市場に参入した理由を明らかにしました。
■傘下メーカーから親メーカーへの切替え
ニューバランスが発表したサプライヤー契約クラブと契約プレーヤーは以下になります。
◇サプライヤー契約クラブ
リヴァプール 、ストーク・シティ(イングランド)、FCポルト(ポルトガル)、 セビージャ(スペイン)、サガン鳥栖 、モンテディオ山形(日本)
そして3月5日にはセルティック(スコットランド)との契約も発表。
◇契約プレーヤー
アーロン・ラムジー(アーセナル)、アドナン・ヤヌザイ 、マルアヌ・フェライニ(マンチェスター・ユナイテッド)、ヴァンサン・コンパニ 、サミル・ナスリ 、ヘスス・ナバス、フェルナンド・レジェス(マンチェスター・シティ)、アルバロ・ネグレド(バレンシア)、ニキツァ・イェラヴィッチ(ハル・シティ) 、ティム・ケイヒル(上海申花)
小笠原 満男(鹿島アントラーズ)、菊地 直哉(サガン鳥栖) 、中島 裕希(モンテディオ山形)、安川 有(大分トリニータ)
注目点では、これまでリヴァプールをはじめストーク・シティ、セビージャ、サガン鳥栖のサプライヤーだった『ウォリアー』がニューバランス傘下の企業だったことで親会社のニューバランスが打って変わって参入する形式となりました。
そして一部で報じられた範囲ではリヴァプールと3億ポンド(約546億円)の規模、3月5日に発表されたばかりのセルティックとは5年で総額2,900万ポンド(約53億円)の1年換算では580万ポンド(約10億円)規模の契約を締結したとされます。
また、契約プレーヤーも日本からは4選手と契約を結び、海外ではプレミアリーグのプレーヤーが多数を占めている印象ですが今後はさらに契約プレーヤーは増えていくと思われます。
■新たなサッカーブランドへの地位確立を狙う
ニューバランスのサッカー市場参入に関しては2014年11月の『EURO2016』予選・ベルギー代表vsウェールズ代表戦でアーロン・ラムジーが「N」マークのスパイクを着用していたことで参入が近いのではと噂されていました。
初めてのサッカー市場参入と思われがちですが、1980年代から90年代にかけてマンチェスター・ユナイテッドに所属しイングランド代表のキャプテンを務めたブライアン・ロブソンのサプライヤーだった時期があります。
そして今回の参入はニューバランスにとっては満を期しての再挑戦であり、大体的なプロモーションも『アディダス』、『ナイキ』、『プーマ』といったサッカー市場で名を馳せるメーカーに対抗するための戦略を発表前から計画してきたと見られます。
これからニューバランスがランニングシューズ製造の技術を、どのようにブランディングしていくのかによって「サッカーブランド」としての地位確立に繋がっていくことになるでしょう。