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J1の鹿島アントラーズが2015年5月8日にスタジアムの利活用の一環としてホーム『カシマスタジアム』に整形外科病院となる『アントラーズスポーツクリニック』(以下・ASC)の開設を発表しました。

ASCに関しては、5月1日に一部のメディアが『カシマスタジアム』に整形外科病院を開設することを報じたことで話題になりましたが、8日の記者会見では鹿島のスポーツドクターが常駐するだけではなく、鹿島のスポンサーである総合商社『イービストレード』のサポートにより20年に渡って培われてきたプロスポーツクラブにおける医療ノウハウと最新の医療技術を地元に還元することを目指すとしています。

 

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■深刻な医師不足になっているホームタウンの問題解消

鹿島のホームタウンである茨城県鹿嶋市は、医師不足が深刻化しており学生スポーツも盛んな地域であるにも係わらずにケガをした多くの学生は県外や水戸方面まで診察に向かわなければならなかった状況を打開しようと鹿島は、カシマスタジアムに住民向けの病院を開設することを決定しました。

ASCの運営は『イービストレード』が出資した社団法人が行い、鹿島のチームドクター6人が交代で治療にあたるほか看護師や診療放射線技師・理学療法士ら計約15人が勤務。診療日は月~土曜日の予定で試合がある日は振り替えになる可能性もあるとしています。

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建物は鉄筋平屋で診療スペースは約430平方メートルとなり、体の断面を画像化できる最先端の『3.0テスラMRI』(磁気共鳴画像装置)の完備をはじめ、リハビリにも活用できる最新トレーニングマシン「パワープレート」も導入され、他にもスポーツマッサージ施設やカフェレストランも併設されるとのこと。

 

■サッカークラブ初の病院開設による地域貢献の強化

会見に出席した鹿島の井畑滋社長は「地域医療に貢献するとともに、スタジアムの利活用の面でも核となるものにしたい」とASCに期待を寄せ、またJリーグの村井満チェアマンも「常に変革を恐れず、先頭を走ってきたクラブだからこそ成し得る新たなチャレンジをJリーグとしても全面的に支援していきたい」とコメントしました。

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こうした鹿島によるサッカークラブの病院開設は、地域医療を守ることで結果的に地域貢献へと繋がり、その結果として普段スタジアムに足を運ぶことのない地元住民の支持を得ることに繋がることが期待されます。

 

■日本でのスタジアムビジネス定着のカギは「必要不可欠な存在」になること

今後は整形外科以外の診療科も設置する可能性があり、それによってシーズンオフ時やアウェイゲーム時でのスタジアム運用および更なる収益をクラブにもたらすモデルケースになる期待が持たれます。

鹿島は、すでにスタジアム施設内にフィットネスジムを併設した「ウェルネス事業」の実施などJリーグクラブではいち早くスタジアムビジネスの実績を築いてきました。

 

欧州クラブのスタジアムでは常時、ショップ・レストラン・カフェなどを運営していますが日本に置き換えた場合には、娯楽施設よりも今回のASCのように地域住民の生活に欠かせない施設の方が受け入れられる可能性が高いでしょう。

それは、サッカーに興味を持たないホームタウンの住民からも「必要不可欠」となる施設を設けて運用することでスタジアムの付加価値が高まり、そこを切り口にすることが日本でのスタジアムビジネス定着への近道になるはずです。

 

 

2015シーズンもJ1・J2の40クラブに対してクラブライセンスが交付されることが確実となり、7月に発表された2013年度の個別経営情報からJ2クラブの検証です。

 

http://www.j-league.or.jp/aboutj/document/pdf/club-h25kaiji.pdf

 

■J2は赤字7クラブ、債務超過8クラブ

J2の開示概要は、1クラブ当たりの平均営業収入 は10億9,000万円(前年比116.4%)で、広告料収入(1クラブ当たり)・5億3,300万円(同118.1%)、入場料収入(1クラブ当たり)・1億7,900万円(同116.2%)となりました。

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損益総括では、22クラブ中7クラブ(栃木SC、ザスパクサツ群馬、東京ヴェルディ、ガンバ大阪、ヴィッセル神戸、アビスパ福岡、V・ファーレン長崎)が赤字を計上し、貸借対照表では札幌、栃木、群馬、岐阜、神戸、福岡、北九州、熊本の8クラブが債務超過となりました。

 

■赤字および債務超過を計上したのは4クラブ

この中で特に注視されるのが赤字および債務超過を計上した栃木、群馬、神戸、福岡の4クラブですが、そのうち栃木と群馬に関しては2014年のうちには単年度黒字計上および債務超過も解消される見通しとなります。

また、神戸は親会社『楽天』による2007年のJ1昇格時と同様な処理が行われることで赤字および債務超過を解消することになるとJリーグも明らかにしています。

その中で最大の懸念要素とされたのが、2013年に経営危機が表面化した福岡です。

 

 

■最もライセンス剥奪が危惧された福岡

福岡は2014年度末までに財務改善が見られなければクラブライセンスの剥奪が確実となることで最も不安視されていたクラブであり、クラブ経営情報が開示された7月時点では2014年度内に黒字にはなる見込みでも、債務超過の解消が難しい状況でした。

しかし、8月に福岡市に拠点を置くシステム設計開発『システムソフト』からの約1億円の出資による増資でライセンス剥奪を回避できる見通しとなりました。

 

J2全体では、全体的に収益を上がった要因として2013年シーズンに降格したガンバ大阪のアウェイ戦は、いずれも過去最高の観客動員数を樹立した「ガンバ特需」によってもたらされましたが、2014シーズンではどのような影響を及ぼすことになるのでしょうか。

 

 

 

29日にJリーグから正式発表される『クラブライセンス制度審査』で、今シーズンのJ1・18クラブとJ2・22クラブに対して来シーズンもリーグ参加資格であるクラブライセンスが交付される見通しになることが確実となりましたが、今年も7月に発表された2013年度(2013シーズン)のJ1・J2クラブ別個別経営情報の開示内容をJ1を検証していきます。

 

http://www.j-league.or.jp/aboutj/document/pdf/club-h25kaiji.pdf

 

■J1は赤字4クラブ、債務超過3クラブ

開示概要によるとJ1・1クラブ当たりの平均営業収入は30億7,800万円(前年比97.6%)で、広告料収入(1クラブ当たり)・14億1,700万円(同101.3%)、入場料収入(1クラブ当たり)・6億9,300万円(同104.5%)となりました。

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損益総括では、18クラブ中4クラブ(湘南ベルマーレ、清水エスパルス、名古屋グランパス、サガン鳥栖)が経営赤字となり、貸借対照表では横浜、鳥栖、大分の3クラブが債務超過となっています。

 

■10億円の特別利益で改善する横浜

事実上の大幅な改善となったのが横浜で2013年度も6億7,700万円と2期連続の債務超過になりましたが、親会社である日産自動車が追加した10億円の特別利益を広告宣伝費扱いで計上したことで2013年度は10億円の純利益となりました。

また、マンチェスター・シティなどを傘下にする『シティ・フットボール・グループ』との提携による資本提携と併せて債務超過解消でもほぼ目途がついたとJリーグから判断されたようです。

 

■安定志向になるJ1クラブ

他では、サガン鳥栖の赤字および債務超過と名古屋の連続赤字などが危惧されますが、「クラブライセンス制度」を意識した運営で安定志向になったように見られます。

 

次回はJ2クラブの個別経営情報の検証です。

 

 

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