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このほど、セリエAのACミランが2014年5月にオープンしたクラブオフィスとグッズショップ・ミュージアムなどを備えた総合施設『カーザ・ミラン』の正面にある旧見本市会場地を買収しミラン専用の新スタジアム建設の構想を練っているとイタリア・メディアが報じました。

 

■スポンサーと共同出資となる新スタジアム

新スタジアム構想を打ち出したのはバルバラ・ベルルスコーニCEОの発案だとされており、現在のホームスタジアムの『サン・シーロ』よりも市街地に近く交通の便の良さとカーザ・ミランの正面に備えることによる相乗効果を狙ったものだとしています。

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新スタジアム建設のプロジェクトはカーザ・ミランの建築家を務めた『ミラニスタ』でもあるファビオ・ノヴェンブレ氏も設計に携わり、2016年からの着工を目指すとしています。

その計画の具体案として2010年にユニフォーム胸スポンサー契約を締結したUAEの航空会社『エミレーツ航空』と12月1日に2020年まで合計約1億ユーロ(約146億円)のスポンサー契約の延長をバルバラCEОが発表したと同時にエミレーツ航空と共同出資で新スタジアム建設を進めることも示唆しました。

 

■経営面の話題が出るワケとは?

また、バルバラCEОはカーザ・ミランの収益発表も行い、発表時現在で20万人の来場者がカーザ・ミランを訪れ、その収益は200万ユーロ(約3億円)になったことも明らかにしました。

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これまでのミランでは聞かれることがなかった「経営面」の報道が聞かれるようになった理由が、先ごろに明るみとなった2014年シーズンの決算で7,000万ユーロ(約102億円)を計上した赤字でしょう。

こうした要因に挙げられるのが『ファイナンシャル・フェアプレー制度』の導入によりオーナーの自己資金のクラブ投資が認められなくなったことによって容易な補強が厳しくなったことやチャンピオンズリーグ出場権も失ったことで放映権収入や入場料収入などの収益を得られなくなったことです。

 

■グローバル路線を拡大するバルバラCEО

損失を補うためバルバラCEОは中東およびアジア地域企業とのスポンサーまたはパートナーシップ契約の拡大に力を入れており、ミランは日本企業とも富士通とトーヨータイヤとスポンサー契約を結んでいますが10月には日本のコンビニエンスストア『ローソン』との交渉も報じられました。

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報道によるとローソンとの交渉では、カーザ・ミランを東京に建設する計画が進んでいることを伝えたとしており、カーザ・ミランの東京建設が実現した場合にローソンに対してテナント優先権などの条件を提示した可能性もあります。

 

かつてセリエAおよびチャンピオンズリーグに君臨してきたミランからは程遠いチーム状況ではありますが、しかしミランは世界各国に熱烈なファンを持つ「名門クラブ」のブランドを持つクラブでもあります。

そのブランドを最大限に活かしたブランディング活動をバルバラCEОは実行しているのでしょう。

 

 

10月24日に『ユヴェントス』は株主総会を開催し、そこで3億1,580万ユーロ(約475億9,100万円)というクラブとして記録的な売上高だったことを発表しました。

 

■セリエA3連覇と売上げ増は堅実かつ新たな試みによって達成

それによるとユヴェントスは、昨シーズンにセリエA3連覇を達成したことやイタリアで数少ないクラブ運営のスタジアムを所有したことで非常に高い集客率を上げて収入面にも大きなアドバンテージとなったことが売上げ増に繋がったとしています。

株主総会でユヴェントスのアンドレア・アニェッリ会長は以下のように述べました。

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「歴史上で1度だけ経験していたものを、我々は再び成し遂げた。5月に我々は3連覇を達成した。それは80年前に1930年代以来のものだ。ユヴェントスはイタリアサッカー界での記録を作った。

スポーツ面で言えば、勝利する能力があると証明されているアッレグリ監督のそばにパヴェル・ネドヴェド、ファビオ・パラティーチがおり、健全な基礎を持っている。さらに新しい挑戦に向かう準備が出来ており4連覇を勝ち取るために動いている選手たちを備えている。

ユヴェントスに関わる皆の働きは、今日の売上高に導いてくれた。テレビ放映権、そして試合ごとの収入などを総合し、我々の営業収入は2億8050万ユーロ(約406億6,725万円)となった。

選手の肖像権での収入を含んだ場合、それは歴史上初めて3億ユーロを超える。正確には3億1,580万ユーロだ。ほとんどの者が信じなかったものが可能だった」

 

■保有選手の育成を目的にしたクラブ買収

株主総会が開催される前にユヴェントスがポルトガル1部リーグ(プリメイラ・リーガ)の『ベレネンセス』の買収に動いていることが明るみに出ました。

これを報じたイタリア紙『トゥット・スポルト』によるとリスボンをホームタウンにするベレネンセスの株式の51%保有のために動いており将来的には100%保有を目指しているとされ、別のクラブを所有することで保有する選手を適した環境で育成できるなどのメリットが得られるとしています。

こうして順調な売上げ高を記録したユヴェントスですが、一方でアニェッリ会長は「イタリアサッカーの状況を見ると欧州全体から衰退していることを認識するべきだ。」と イタリアサッカーの将来を見据えた場合の現状を危惧していることも述べています。

 

■イタリアサッカーの将来のために挑む「新たな名門クラブ像」

アニェッリ会長のコメントを読み解いていくと、まず2011年に開場した『ユヴェントス・スタジアム』はクラブが所有するサッカー専用スタジアムとして注目を集めることになり、これまでイタリアでクラブ所有のスタジアムが存在していなかったことでイタリアサッカーにとっては大きな転機となったことは間違いありません。

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また、3連覇を成し遂げたシーズンを振りかえても高額な移籍金を支払うような補強を行わずに結果を残したことや保有選手の育成目的のベレネンセス買収などの動きを見ていると「新たな名門クラブ像」を構築しようとしているのでは?と読み取れます。

これれまでに欧州サッカーで行われてきた高額移籍金の選手獲得の乱立も『ファイナンシャル・フェアプレー』が制定された現在では不用意な支出も出来なくなった今こそ「ユヴェントスの新たな名門クラブ像」がイタリアサッカーの将来を左右していると言っても過言ではないでしょう。

 

 

 

フットボール・マネーリーグ2014(2012-13シーズン)の検証4回目は20クラブのうち4クラブがランクインしたイタリア・セリエAです。

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■観客動員数減少が影響するセリエA

※[]内は前年の順位および収入額、 レートは2014年・2月時点の1€=約140円で換算。内訳はチケット収入・テレビ放映権料・スポンサー料(広告など)の3部門。

9位ユヴェントス 381億円 [10位/232億円] チケット収入54億円、放映権料232億円、スポンサー料95億円

10位ACミラン 368億円 [8位/305億円] チケット収入36億円、放映権料197億円、スポンサー料135億円

15位インテル・ミラノ 236億円 [12位/220億円] チケット収入27億円、放映権料114億円、スポンサー料95億円

19位ASローマ 174億円 [19位/137億円] チケット収入29億円、放映権料92億円、スポンサー料53億円

 

■明暗を分けた『ビッグ3』

9位のユヴェントスは、リーグ優勝と3シーズン振りの出場を果たしたチャンピオンズリーグでベスト8入りをしたことによって、チケット・スポンサー料と共に放映権料収入が大幅に増えたことでミランを抜き成績と同様、セリエA勢のトップとなりました。

一方、前回よりランクを下げたミランは放映権・スポンサー料は増えましたがチケット収入は、ほぼ横ばいになったことがランクダウンの要因と思われます。

ミランよりさらにランクを下げたインテルは、こちらもミランと同様に放映権・スポンサー料の増加くらいと2012-13シーズンではタイトル争いから遠ざかった影響が出たと思われます。

 

■来年ランクアップが期待されるローマ

そして前回と同じ19位となったローマに関しては前回と比較した場合、2012-13シーズンのリーグ戦も6位と、それまでのシーズンと同じ様な順位にも係わらずチケット収入が増加となっています。

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しかし2013-14シーズンのリーグ戦では4シーズン振りに2位となり チャンピオンズリーグ出場権を得たシーズンとなったことに加えて新スタジアムの建設計画も発表されたことで、来年の『フットボール・マネーリーグ2015』のランキング順位が注目されます。

 

今回も『フットボールマネーリーグ2013・セリエA』で触れたようにセリエA勢はユヴェントス、ローマのチケット収入は増加しましたが、全体的にセリエAの集客率の低さを象徴する収入額になった印象です。

次回、最終の検証シリーズはスペイン・リーガ・エスパニョーラです。

 

 

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