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このほどサッカー誌『the WORLD』の公式サイトに今シーズンのセリエAの開幕2試合での観客動員数は合計42万6388人となっているが、これは過去10年で最も少ない動員数であり昨シーズンより5%減で2014-15シーズンからは9%減となっており深刻な人気低迷を表しているとする記事が掲載されました。

http://www.theworldmagazine.jp/20160905/01world/italy/85523

 

記事には、以前ほどスター選手が集まっていないことをはじめミラノ勢の戦力が大きく低下していることやユヴェントスだけが抜きんでていることなどによって魅力に欠ける要素が複数あることで観客動員数の減少が進行しているとしていますが、すべての試合で観客数が少ないということは無くても欧州リーグで最も多い観客動員数を誇るブンデスリーガと比較した場合は、その差は顕著であるといえるでしょう。

しかしながら記事にあるようにミラノ勢の低迷とユヴェントスの独壇場という影響はあると思いますが、「以前ほどスター選手が集まっていない」という点についてはブンデスリーガと比較しても大きな差はないと思います。それでは「セリエAにブンデスリーガのような観客数をスタジアムに呼び込むには何が必要か?」その答えになると思われるコラムがありました。

今回のレポートはセリエAの復権へのカギとなる取り組み及びそれによって「スタジアムへ足を向かせる」ことにもなる可能性について取り上げます。

 

■突出した育成への投資

2015年12月のスポーツ誌『Number』のWeb版に「スカウト予算はユベントスの5倍以上!育成王国ウディネーゼの異端戦略」とする、かつて所属した数多くの選手が強豪クラブでプレーするイタリア屈指の「育成王国」として知られるウディネーゼについてのコラムが掲載されています。

 

http://number.bunshun.jp/articles/-/824643

 

「育成王国」と呼ばれる由縁が「無名でローコストの原石を探し当て、セリエAの実戦を通してピカピカに磨き上げた若手選手を、高値でトップクラブに売却する」とコラムでも触れているように選手の発掘と育成をほとんどのクラブが失敗するなかでウディネーゼは見事に成し遂げているのです。

 

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それを可能にしているのが充実したスカウト体制と突出した予算であり、セリエA王者ユヴェントスのスカウトの人数が11人に対してウディネーゼは15人のスカウトを雇い、予算もウディネーゼが700万ユーロ(約8億円)に対して次点とされるユヴェントスでさえ予算はウディネーゼの5分の1以下とされることでも育成部門への強化に重点を置いていることを伺わせます。

 

■世界各国から探し出した選手の成熟度

コラムでも東欧諸国をはじめアフリカ諸国や南米の第三勢力国であるチリやコロンビアにまでに及ぶ世界中に存在するウディネーゼのスカウトによって有望な選手を探し出しているようにトップチームのスタメンにイタリア国籍の選手が少くないことでも垣間見えます。その中にはJリーグ元年当時・ヴェルディ川崎に所属していた選手もいました。

 

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その選手とは元ブラジル代表FWアモローゾで、1993年にヴェルディ川崎・所属時は外国籍選手登録枠から外れたことでトップチームでの出場がなく、翌年にブラジルに戻ったフラメンゴで頭角をあらわしたことでウディネーゼへの移籍を果たしてからセリエAの得点王を獲得したことで注目を集めました。

他にもFWサンチェス(アーセナル)、DFベナティア(バイエルン・ミュンヘン)、MFクアドラード(ユヴェントス)、GKハンダノビッチ(インテル・ミラノ)と各クラブで活躍する外国籍選手がウディネーゼからステップアップしたといえます。

しかし近年、それまでの育成方針をウディネーゼは変更したのです。

 

■育成方針転換が復権への道標に

コラムでも触れているように、これまでウディネーゼの下部組織は外国籍の選手が多くを占める状況が一転して地元の選手を中心にしたチーム編成になったのです。

理由としてFIFAによる年少選手移籍の制限規定へのリスクを避けることによりコスト増になることで、ホームタウンから選手を発掘してコストとリスクが無い「地元重視」に転換したとしています。

 

FIFAによる規定によって方針転換したことになったとのことですが、私はこの方針転換が冒頭の観客動員数減少に歯止めをかけることになると感じます。

現状のセリエAは、かつてのように各国の名だたる選手を連れて来て“集客に繋げる”ようなリーグでは無くなったことにより、自国の選手への育成を重視することで下部組織から有望な選手がトップでプレーして注目されるような選手が登場することになればサポーターからも支持を得られることに繋がるでしょう。

 

ビジネス的には、いわゆる「先行投資」ということになるので時間が掛かることや理想とするような選手が現れるのかも不透明な部分が多いことは否めませんが、これまで培ったスカウトのノウハウをウディネーゼが活かして地元からトッププレーヤーを生み出すことになればセリエA復権の新たな道標に繋がるかもしれません。

 

 

 

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フットボール・マネーリーグ2016(2014-15シーズン)の検証4回目は20クラブ中4クラブがランク入りしたイタリア・セリエAです。

 

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■収入もリーグ成績と同様の勢力図

※[]内は前年の順位および当時の金額。 レートは2016年・1月時点の平均1€=約130円で換算。内訳はチケット収入・テレビ放映権料・スポンサー料(広告など)の3部門。

 

10位ユヴェントス 421億円 [10位/377億円] チケット収入68億円、放映権料258億円、スポンサー料95億円

14位ACミラン 259億円 [12位/337億円] チケット収入30億円、放映権料103億円、スポンサー料126億円

16位ASローマ 235億円 [ランク外/参考・171億円] チケット収入41億円、放映権料148億円、スポンサー料46億円

19位インテル・ミラノ 214億円 [17位/221億円] チケット収入29億円、放映権料126億円、スポンサー料59億円

 

■横ばいのユヴェントスと長期低迷するミラノ2クラブとの格差

前回と同様10位にランクインしたユヴェントスはリーグ連続優勝と併せてチャンピオンズリーグでファイナルに進出を果たしたことによる放映権料収入が増額したものスポンサー料が前回より20億円ほど減額した結果大きな変動は見られないランキングとなりました。

 

2014-15シーズンの低迷によって更なるランクダウンになることが予想されると前回で予想されたランキングとなったのがACミランとインテル・ミラノです。ミラン、インテルともに前回よりもさらに2ランクダウンとなりました。

まず両クラブに共通するのがリーグ戦での低迷によってミランは放映権料、インテルはスポンサー料と前回よりも著しく減収によって大幅なランクダウンにつなったことでしょう。

これは言うまでもなく、これまでの長期にわたるチーム不振によるものですが2015-16シーズンを振り返るとミハイロビッチ監督解任後に失速したことでリーグ戦を7位で終えたミランに対し苦しみながらもリーグ戦を4位で終えたインテルと、次回の『フットボール・マネーリーグ2017』ではランキング自体に大きな変動は見られなくても収入内訳では差が出るかもしれません。

 

■2年振りにランクインしたローマ

そして今回のランキングには2年振りにASローマが16位にランクインしました。収入の内訳をみると放映権料が突出しており、これは2013-14シーズンと2014-15シーズンの連続でリーグ戦2位となったことでチャンピオンズリーグ出場権を得たことによる放映権料収入で増額したと思われます。

 

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あえて課題を挙げるとするなら2013-14シーズンから胸スポンサーが不在となっている状態が続いているように成績と反して「名門ローマ」のブランド復活には、まだ至っていないことを証明していると言えます。成績と共にブランディングを高める運営を行うことが必要になりそうです。

 

次回、検証シリーズはスペイン・リーガ・エスパニョーラです。

 

 

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フットボール・マネーリーグ2015(2013-14シーズン)の検証4回目は20クラブのうち4クラブがランクインしたイタリア・セリエAです。

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■放映権料が主な収入源になりつつあるセリエA

※[]内は前年の順位および収入額、 レートは2015年・2月時点の1€=約135円で換算。内訳はチケット収入・テレビ放映権料・スポンサー料(広告など)の3部門。

10位ユヴェントス 377億円 [9位/381億円] チケット収入56億円、放映権料207億円、スポンサー料114億円

12位ACミラン 337億円 [10位/368億円] チケット収入35億円、放映権料165億円、スポンサー料137億円

16位ナポリ 222億円 [ランク外/参考・163億円] チケット収入27億円、放映権料145億円、スポンサー料50億円

17位インテル・ミラノ 221億円 [15位/236億円] チケット収入26億円、放映権料114億円、スポンサー料81億円

 

■伸び悩んだユヴェントスと収入でも低迷するミラノ2クラブ

前回9位から10位にランクダウンしたユヴェントスはリーグ連続優勝を果たしましたが、チャンピオンズリーグではグループステージで敗退し、その後のヨーロッパリーグはベスト4に進出するもスポンサー料の増額以外には全体的に伸び悩んだことがランクダウンの要因と見られます。

そして前回よりさらにランクダウンとなったミランですが、チケット・スポンサー料はあまり変動はありませんが過去のミランに於いても主たる収入源である放映権料が減収となった影響は大きく、このシーズンでのチャンピオンズリーグ敗退以上に出場権を逃したリーグ戦の不振を示したと言えます。また、次回の『フットボール・マネーリーグ2016』である2014-15シーズンの低迷によっては更なるランクダウンになることが予想されます。

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ミランと同様に不振を極めたことでランクダウンとなったインテルに関してはチケット・放映権料は、ほぼ横ばいとなりましたがスポンサー料が減収になったことで更なるランクダウンとなりました。

そして、このシーズンでは長年に渡り会長を務めたマッシモ・モラッティ氏が名誉会長に就任して会長職を退き、新たに筆頭株主となったインドネシアの実業家エリック・トヒル氏が会長に就任した節目のシーズンでもありました。

 

■収入でも躍進したシーズンになったナポリ

前回ランク外から一気に16位にランクインしたナポリは、リーグ戦を3位で終えた躍進ぶりが放映権料増にも繋がってランクインしたと思われます。

一方で2014-15シーズンは、リーグ戦は5位で終えましたがヨーロッパリーグではベスト4進出を果たしたことで次回のランキングの順位に注目です。

 

次回、検証シリーズの最後はスペイン・リーガ・エスパニョーラです。

 

 

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