2014年11月にオーナーとして運営会社『株式会社今治.夢スポーツ』代表取締役に就任した元日本代表監督の岡田武史氏によって注目を集めた四国リーグ『FC今治』に関して、岡田氏が就任して以降の動きを振り返りながらFC今治の存在が地方クラブにとって新たな存在になる可能性について取り上げます。
■獲得スポンサーから見る岡田氏の影響力
オーナーに就任してから3ヶ月後の2015年2月に開かれた新体制発表会見で発表されたスポンサー企業は、Jリーグよりも下位のカテゴリーである規模の地方クラブ“らしくない”独特のスポンサーが発表されたのです。
今シーズンのユニフォームとして、背中に人気ダンス&ボーカルグループ「EXILE」「三代目J Soul Brothers」のマネジメント事務所『LDH』と、袖にはJ1・FC東京のスポンサーでもある『三菱商事』のロゴが入り、そのユニフォームのデザインも「EXILE」や「三代目 J Soul Brothers」の衣装も手掛ける『LDH apparel』のオリジナルデザインという話題性に富んだ詳細が明らかにされました。
また会見から1ヶ月後には、発表時にはチームロゴだった胸スポンサーに大手コンサルティング会社『デロイトトーマツコンサルティング』との契約も発表され、総額1億5000万円と推定されるスポンサー料を岡田氏は集めたのです。
■日本人の強みを引き出す『岡田メソッド』
岡田氏は10年後の目標に「J1で優勝争い」と「日本代表5人輩出」を掲げ、まずは今シーズンの目標としてJFL昇格を明言しました。
それらを実現するために考案したのが『岡田メソッド』とされる日本人が世界で勝つために育成からトップまで一貫した「型」を日本人の強みである組織力を最大化するためにプレイモデルいう理想形とトレーニングメソッドという練習法を往復することで全員で同じビジョンを共有しながら個々の発想が生かされるチーム作りを目指す手法です。
こうした自らのサッカー経験で得てきたことから導きだした答えが『岡田メソッド』に集約されているのでしょう。
■地方クラブの指針になるFC今治
岡田氏がFC今治の「監督」ではなく「オーナー」になった理由として2014年のブラジルW杯でグループステージで敗退した日本代表に関し、スペイン人から“スペインにはサッカーのプレーモデルの「型」があるが日本にはないのか?”とかけられた言葉がキッカケだったと自身を密着取材したメディアで明かしています。
そうしたことによって、岡田氏が思い描いたトップから下部組織までクラブ全体で共有されて監督が替わったとしても変わることのないプレーの指針である「型」を作り10年かけて、その「型」を構築しようと「オーナー」を選んだのです。
地方クラブおよび下部カテゴリーと、不利な要素を「逆手」に取ることで岡田氏自身が思い描くクラブ像を構築出来る環境を選んだのでしょう。
これによって同じ境遇である下部カテゴリーの地方クラブにとっては、プレーとともに運営面での指針となる「ビジネスモデル」としてFC今治の動向に注目していくのかもしれません。